ハゲといえば男性のイメージですが、近年、女性の薄毛の悩みが急速に増えています。
それに合わせて女性用の育毛剤や女性専用の育毛クリニックもたくさん産まれています。
「薄毛は病院で治療する」
そんな考え方も一般的になってきていますね。
そこで気になるのが、「薄毛治療は保険の対象となるのか?」ということ。
今回は薄毛治療と保険の関係について詳しく説明したいと思います。
目次
内服薬での薄毛治療の保険適用
女性の薄毛に対する内服薬を使った治療に保険は適用されません。
そのすべてが自費診療(自由診療)となります。
とはいえ、女性の薄毛治療に対して内服薬を使うのは一般的ではありません。
薄毛治療のための内服薬として有名なのがフィナステリドやデュタステリドです。
これらの内服薬は広く世界中で薄毛治療に使われていますが、女性に対する使用は禁忌とされています。
日本皮膚科学会が作成した薄毛治療ガイドラインでも、評価Dの「行うべきではない」となっています。
だた、女性の薄毛治療に使える内服薬がまったくないということではありません。
女性の薄毛治療で有名なのが「パントガール」という内服薬です。
ただし、パントガールについても保険の適用外となるので注意が必要です。
外用薬(育毛剤)での薄毛治療の保険適用
薄毛治療のための外用薬、つまり育毛剤のことですね。
女性の薄毛を治療するために皮膚科や育毛クリニックを受診すると、ほとんどの場合ミノキシジルという成分が配合された外用薬を処方されます。
ミノキシジルは男性の薄毛にも、女性の薄毛にもよく効く成分です。
ですが、ミノキシジルの外用薬も保険の対象ではありません。
セルフメディケーション税制によって、薬局で買った医薬品も確定申告することで医療控除の対象となります。
ですが、薬局で購入した育毛剤も、医療控除の対象になハリません。
関連記事:育毛剤の費用は確定申告で医療費控除対象なのだろうか?
漢方での薄毛治療での保険適用
普通の病院を受診しても、その治療のために漢方薬を処方されることがあります。
このことからもわかるように、漢方薬は医薬品に分類されており、保険適用の対象になります。また、薬局で購入した漢方薬についても、セルフメディケーション税制の対象になります。
ただし、薄毛治療のために病院で処方された漢方薬については、保険の対象とはなりません。
自毛植毛による薄毛治療の保険適用
自毛植毛は自分の健康な毛包を、薄毛になっている部位に移植する外科手術を行う薄毛治療法です。
薄毛治療の範囲によっては数十万円の費用がかかりますが、これもまた保険の対象外となります。
医療用ウィッグやかつらの保険適用
例えば抗がん剤治療などで髪の毛が抜けてしまった場合、それをケアするために医療用のウィッグやカツラが使われることがあります。
これは何となく保険の対象となりそうですが…実際は保険の対象とはなりません。
保険はあくまでも治療のための医療行為が対象となるからです。
保険が適用になる脱毛症とならない脱毛症
ここまで紹介した薄毛治療は、すべて保険適用外のものばかり。
薄毛治療はあくまでも”美容”のカテゴリーであり、”医療”ではない、ということですね。
ですが、脱毛の原因によっては保険の適用になるものもあります。
それがこちら。
- 脂漏性脱毛症
- 粃糠(ひこう)性脱毛症
- 円形脱毛症
それぞれの症状について説明します。
脂漏性脱毛症
脂漏性皮膚炎は頭皮が赤く炎症を起こしたり、痒くなったり、皮膚が薄く剥がれたりしてフケのように見えることもある、皮膚病のひとつ。
そのまま放置しておくと、脱毛や薄毛を引き起こす可能性もあります。
その原因はさまざまですが、ほとんどの場合、頭皮に付着したマラセチアという真菌(カビ)が原因で発症します。
脂漏性脱毛症は皮膚に炎症が起こり、それが原因で抜け毛が増える脱毛症のひとつです。
普通の女性の薄毛は、加齢や栄養バランスの悪い食生活の影響で髪が細くなり、頭部全体が薄くなっていきます。
ですが、脂漏性脱毛症の場合は、頭皮が赤くなったり、痒くなったりといった症状が併発して薄毛になります。
これはれっきとした皮膚病ですので、その治療は保険の対象となります。
粃糠性脱毛症
粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)とは、頭皮にカサカサのフケが大量に発生し、それらのフケが原因で雑菌が繁殖したり、毛穴に詰まったりしてしまい、その結果として薄毛になる症状のことです。
ひこう性脱毛症は体質や何らかの外的な要因で、とにかくフケがでまくる皮膚病です。
放置しておくと毛穴が詰まり、抜け毛が増えてしまいます。
この症状も普通の薄毛とは違い、皮膚病の一種なので、保険の対象となります。
円形脱毛症
円形脱毛症は頭部のある一部分が円形に、クッキリと抜け落ちてしまう脱毛症の一種。
強いストレスが原因で起きると思われていますが、実際は免疫疾患のひとつとなります。
そのため、ストレスを感じていないこどもでも、大人でも変わらずに発症するリスクを持っています。
円形脱毛症は免疫疾患なので、その治療は保険の適用となります。
保険の適用にならない脱毛症
では次に、保険の適用にならない脱毛症をまとめて紹介します。
FAGA(女性男性型脱毛症):ホルモンバランスの乱れが原因で起きる薄毛。
びまん性脱毛症:加齢や生活習慣、食生活の乱れが原因の薄毛。
産後脱毛:主産後のホルモンバランスの乱れが原因の薄毛。多くは自然に改善する。
老人性脱毛症:加齢による細胞機能の低下が原因の脱毛。
このような原因の薄毛は、疾患が原因ではないので保険の対象にはなりません。
これらの薄毛を改善するには、女性用の育毛剤や育毛サプリメントを使ったり、バランスの取れた食生活を心がけるのが大切です。
女性の薄毛治療と保険まとめ
発毛治療は、厚生労働省による保険適用外にあたるので、健康保険は適用されません。
すべてが自費診療になります。
ですが、脂漏性脱毛症や円形脱毛症などの疾患が原因の薄毛は、ちゃんと保険を適用することができます。
治療法や脱毛症の種類 | 保険適用 |
内服薬 | × |
外用薬(育毛剤) | × |
漢方 | × |
自毛植毛 | × |
ウィッグやカツラ | × |
円形脱毛症 | 〇 |
ひこう性脱毛症 | 〇 |
脂漏性脱毛症 | 〇 |
もともと女性ホルモンの分泌量が多い女性の薄毛は、男性に比べて改善する可能性が高いもの。
軽度の薄毛(びまん性脱毛症)であれば、食生活の乱れや生活習慣を改善するだけで良くなることだってあります。
自分の薄毛の原因を理解し、適切な対処をすれば、細くなった髪の毛もしっかりと太くなってくるでしょう。
もし必要であれば皮膚科や育毛クリニックを受診してみるのもオススメ。
多くのクリニックが無料相談を受け付けているので、ひとりで悩むよりも専門医に相談してみるのがいいかもしれませんね。