「AGAはお医者さんに相談だ!」
という爆笑問題のCMが流れていましたね。
このAGAは男性型脱毛症のこと。遺伝的な要因で薄毛が進行する特徴を持っています。
AGAの治療に使われる主要な内服薬がプロペシアで、プロペシアの成分がフィナステリド。
今回はこのフィナステリドの副作用のひとつである「ポストフィナステリド症候群」について紹介します。
プロペシア市販後、世界中で臨床試験では見られなかった副作用が報告されてきています。
そのひとつがポストフィナステリド症候群(post finasteride syndrome)です。
フィナステリドは多くの内服薬と同じように、服用することで何らかの副作用があらわれるリスクがあります。
ポストフィナステリド症候群は、副作用の中でもかなり重篤なもの。
その症状はどのようなものなのでしょうか?
ポストフィナステリド症候群の症状
フィナステリドは薄毛治療で広く使われる有効成分。
5αリダクターゼの働きを阻害することでジヒドロテストステロンの生成を抑え、薄毛の予防と改善効果があります。
フィナステリドの内服薬として、日本では2005年に万有製薬からAGA治療薬プロペシアが発売されました。現在ではジェネリック医薬品も販売されています。
薄毛治療のために医療機関を受診すると、まず間違いなく最初にプロペシア(フィナステリド)が処方される、それくらいポピュラーな薄毛治療の選択肢になります。
このフィナステリドによる副作用の中でも重篤なものが、ポストフィナステリド症候群。
そのメカニズムはハッキリと解明されていませんが、何らかの理由でフィナステリドの服用をやめても5αリダクターゼの機能が阻害され続けることで体内のホルモンバランスが崩れるのが原因のようです。
ますは、ポストフィナステリド症候群の症状の概要を紹介します。
身体的な症状
- 性的不能
- 性的快感の消失
- 乳房の女性化
- 慢性的な疲労感
- 筋力の低下・筋肉痛
- 乾燥肌(皮脂の減少)
- 脂肪委縮(部分的に脂肪細胞が減少する)
- 耳鳴り
- 肥満
- 体温の低下
精神的な症状
- 記憶力の低下
- 頭の回転が遅くなる
- 理解力・集中力の低下
- うつ病
- 強い不安感
- 自殺念慮
- 感情の起伏がなくなる
- 不眠症
- 睡眠時無呼吸症候群
身体的、精神的に、実に幅広い副作用があらわれるのがわかります。
フィナステリドを服用することでこれらの症状が現れ、たとえ服用をやめてもず~っと継続してしまう。
これがポストフィナステリド症候群の恐ろしいところです。
ポストフィナステリド症候群の治療について
ポストフィナステリド症候群には、今のところ有効な治療法がない状態です。
というのも、ポストフィナステリド症候群そのものが、まだ報告されたばかりで研究の進んでいない疾患だから。
医学会はポストフィナステリド症候群の恐ろしさや問題点を、まだ認識したばかりで、具体的な対応には至っていない状況なのです。
報告が少ないので、ポストフィナステリド症候群が完治したという報告もありません。
しかし、一部のポストフィナステリド症候群患者の中では、自然にその症状が緩和したケースもあります。
1年~5年かけて8割から9割程度症状か改善した報告もありますし、完全に治るわけではないものの症状が安定してくることもあるようです。
逆に症状が重症化していくケースもあるようで、その違いについてもまだ詳しくわかっていません。
そもそもポストフィナステリド症候群自体があまり知られていないので、多くの日本の専門医でも適切に対処できない場合が多いのが現状。
とにかく、万が一ポストフィナステリド症候群になってしまったとしたら、なるべき早く信頼できる医師に相談するのが大切ですね。
ポストフィナステリド症候群が発症する条件とは?
ポストフィナステリド症候群については、そのメカニズムがほどんどわかっていないのが現状。
そのため、フィナステリドを服用することそのものの危険性もはっきりしていません。
世の中のほとんどの人たちは、副作用が起こらずに、安全に薄毛治療を行っています。
そんな中で、ひとつだけ言えることがあります。
フィナステリドを服用している期間が長ければ長いほど、ポストフィナステリド症候群の発症リスクは高まるってこと。
中にはフィナステリドを服用してたったの10日でポストフィナステリド症候群を発症してしまうケースもあるけど、とにかく長期間摂取し続ければ続けるほど発症リスクも高まることは、いろんな検証でわかっています。
また、ポストフィナステリド症候群はデュタステリドでも発症するリスクがあります。
デュタステリドはフィナステリドと似たような働きをする成分で、同じように5αリダクターゼの働きを阻害して薄毛を改善する効果を持っています。
デュタステリドが主成分の内服薬としては「ザガーロ」が有名ですね。
フィナステリドやデュタステリドは体内で5αリダクターゼの働きを阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を抑えることで薄毛を予防します。
その過程で、何らかの理由でず~っと5αリダクターゼの働きを阻害し続けてしまうことがある。
これによって体内のホルモンバランスがボロボロに崩れ、ポストフィナステリド症候群が発症するとか。
フィナステリドと同様のメカニズムを持つデュタステリドも、ポストフィナステリド症候群の原因となるんですね。
逆に言えば5αリダクターゼにアプローチしない薄毛治療、例えば育毛剤や育毛サプリメント、低出力レーザー育毛器などであれば、そういった副作用の心配はまったくないです。
ポストフィナステリド症候群の特徴
- フィナステリドやデュタステリドを服用することでまれに発症する
- 服用期間が長ければ長いほど、リスクが上昇する
- 治療法は確立されていない
ポストフィナステリド症候群まとめ
ポストフィナステリド症候群は一度発症すると、なかなか治療するのが困難な、厄介な病気。
治療法の開発も進んでいないし、その研究も進んでなかなか進んでいません。
もし薄毛治療でプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)を飲むことがあるとしたら、信頼できる医師とよく相談してからにした方がいいでしょう。
不安なことは事前に医師に相談する。
それで納得できなければ、他の選択肢を選んだっていい。
とはいえ、ポストフィナステリド症候群があらわれるのはごく稀なこと。
ほどんどの方は、安全に薄毛治療を行っています。
大事なのは、何か身体に変化があらわれたら、すぐに担当の医師に相談することです。
どんな治療でもそうだけど、薄毛治療だって副作用のリスクはあります。
話を聞いてくれる信頼できる育毛クリニックでちゃんと治療するのが、ポストフィナステリド症候群のリスクを下げる一番の方法ですね。