「適度な運動を心がける」という生活習慣は、健康を保つためにとても大切です。
運動をすると心肺機能が高まりますし、全身の血流が増加することで細胞に栄養が行き渡り、さまざまな健康効果を得ることができます。
薄毛や抜け毛の予防にももちろん有効だと考えられています。
では、育毛にとって”筋肉を付ける”というのは良い効果があるのでしょうか?
筋肉は男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌を促す効果があります。
そのため筋肉量が多いとやる気が上昇したり、活力が湧いてくるといったメンタル面での良い効果も得られます。
ですが、テストステロンと言えば薄毛にも関わってくる重要なホルモンであり、AGA(男性型脱毛症)の一因になっています。
筋肉を付けることは逆に脱毛を促進する効果があるのでしょうか?
筋肉の薄毛や抜け毛への影響、そして薄毛予防のための効果的な筋トレを紹介します。
筋肉を付けるとハゲるのか?
筋肉はそれ自体が男性ホルモンのテストステロンの分泌を促す作用があります。
さらに男性ホルモンには「筋肉をつけやすくする」という効果があります。
男性ホルモンと筋肉は相互に影響を与えあっている関係といっていいでしょう。
当然のことながら女性に比べて男性の方が男性ホルモンの分泌が多いので、同じ時間同じ負荷で筋トレしたとしても、男性の方が効率的に筋肉を付けることができます。
確かに女性でも男性ホルモンは分泌されていますが、男性に比べてはるかに少ない分泌量のため、女性の方が筋肉がつけづらいのです。
体質的な個人差や男性・女性などの性差がありますが、筋肉を付けると男性ホルモンの分泌が増えます。
この男性ホルモンが原因でハゲる可能性があるのはAGA(男性型脱毛症)の場合です。
テストステロンは毛根の中に存在する5αリダクターゼという酵素と合わさって、ジヒドロテストステロンという脱毛促進物質を作り上げます。このジヒドロテストステロンが毛根に作用して、新しい髪の毛を作り出す機能を低下させてしまいます。
その結果、毛根のミニチュア化が起こり、ヘアサイクルが乱れ、抜け毛が多くなてしまうのです。
この話は男性に限ったことではなく、女性もAGAタイプの薄毛になる可能性はあります。FAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれるものです。
男性のAGA(男性型脱毛症)はおでこや頭頂部から薄くなっていきますが、女性のFAGA(女性男性型脱毛症)は頭頂部を中心として頭髪全体が薄くなり、髪の毛が細くなるのが特徴です。
女性であれ、男性であれ、筋肉を付けすぎた場合、テストステロンの分泌量が増加して薄毛や抜け毛のリスクは上昇してしまうかもしれません。
筋肉をつけたからと言ってハゲるわけではない理由
筋トレで筋肉が増えると男性ホルモンの量も増える。
これは確かですが、筋トレをしたからといって必ずしもハゲるわけではありません。
筋肉をつけると男性ホルモンの分泌量がアップして、結果的にジヒドロテストステロンが増える可能性はあります。
ですが、その量が微々たるものであり、抜け毛を引き起こすほど大量のジヒドロテストステロンが生成される事はまずないでしょう。
そもそも、筋トレで発生したテストステロンは筋肉を回復させたり、強くさせたりといった用途に使われることが多いですし、やる気や活力の元になったりとたくさんのメリットがあります。
また、男性ホルモンがどんなに多くても、頭皮にある5αリダクターゼがそんなに強く活動していなければ、まったく問題はありません。男性ホルモンが過剰で体毛が濃い人でも必ずハゲるわけではありませんし、ボディビルダーのような筋肉ムキムキの方でも必ずハゲるわけではありません。
もちろん、抜け毛や薄毛の原因がAGA(男性型脱毛症)でない場合はまったく気にする必要はないですし、もしAGA型のハゲだったとしてもそんなに筋肉を付けることに神経質になる必要はないでしょう。
それよりも問題なのが、まったく筋肉のないぽよぽよの身体です。
関連記事:男性ホルモンから男性型脱毛症の原因物質ジヒドロテストステロンが作られる仕組みとは。
筋肉よりメタボ体型の方が危険!
筋肉のまったくないだらしない身体。メタボリックなお腹。そんな不健康な体型が育毛に良いはずはありません。
そういったメタボ体型は全身の血流も悪くなるし、頭皮の皮脂の分泌が過剰になったりして育毛には悪いです。
それに比べたら筋肉がついている方がはるかに良いでしょう。
筋肉には全身の血流を良くしたり、基礎代謝を上げるといった育毛に良い効果もあります。
まったく筋肉のない身体より、適度に鍛えられた肉体の方が健康的ですし、総合的に見ても育毛には良い影響を与えるでしょう。
筋肉ムキムキのボディービルダーを見ても、とくにハゲが多いという印象は受けませんしね。
育毛にオススメの筋トレとは?
筋トレをガッツリしたからといって薄毛や抜け毛を引き起こす心配はないことがわかったところで、次は育毛効果が得られる筋トレをお教えします。
薄毛を引き起こす原因はさまざまですが、その大きな要因の一つに頭皮の血行不良があります。
多くの育毛剤が頭皮の血行に着目しているのも、髪の毛が成長するためには毛細血管からの栄養が必要不可欠だから。
もし頭皮の血行が損なわれてしまうと、毛根に絡みついている毛細血管の量が次第に少なくなっていき、酷い場合は完全に死滅してしまいます。
恐らく薄毛が進行しすぎてしまうと頭皮のすぐ下にある毛細血管は死滅している可能性があります。頭皮の血行は薄毛になる前も、なってからもとても重要なのです
毛細血管が少なくなると、毛根に栄養や酸素が行き渡らずに次第に弱々しい髪の毛になっていってしまうでしょう。
そこで、頭皮の血行を良くするために最適の筋トレを紹介します。
それはスクワットです。
「なぜ頭部の血行に下半身のトレーニングが関係あるの!?」
と思った方も多いでしょう。
下半身、特にふくらはぎは第二の心臓と呼ばれるくらい、全身の筋肉に重要な役割をはたしています。
足の先まで回ってきた血液を重力に逆らって上半身まで送り届けるために、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割をはたしているからです。
つまりふくらはぎを適度に動かし筋肉を付けることは、第二の心臓を強化することであり、全身の血流改善効果があるということでもあります。
スクワットの基本的なフォームは、両足を肩幅くらいに開いて、膝を前に出さず、まるで空気イスをやっているイメージでゆっくりと腰を下げる方法です。
手を真っすぐに伸ばすと、足を曲げたときにバランスがとりやすいでしょう。
プロボディビルダーのように、汗をかくほど筋肉を追い込まなくていいです。
朝昼晩と、10回~20回くらいスクワットするだけで十分。
日々継続すれば、ふくらはぎの血流が増加して全身の血行が良くなるでしょう。
血流が増加すると、特に末端の毛細血管が健康になっていきます。
そして頭皮も末端の一部。
スクワットの筋トレは、薄毛以外にも、肩こり、冷え性、内臓機能の低下、しみ・シワの予防にも効果を発揮すると思います。
育毛・脱毛と筋肉の関係
育毛に筋トレは効果的なのか?
その答えは「筋トレで髪が生えるわけじゃないけど、筋肉を付ければ健康的な生活を送れて髪にも良いよね」という事になりそうです。
ボディービルダーのような肉体を手に入れる必要はないですし、そこまで行ったら逆にテストステロンが過剰になってしまうかもしれません。
少なくとも、筋肉はテストステロンが増えるから髪に悪いよ~なんて全く運動しない方が問題です。
オススメはスクワット。
毎日継続すれば全身の血流が増加して薄毛、抜け毛を予防するとともに、いろんな健康効果も期待できるのではないでしょうか。