昔から頭皮が脂っぽいと抜け毛や薄毛の原因になるといわれてきました。
多くの育毛剤やスカルプシャンプーが皮脂対策に着目しているのもそのためです。
しかし実際のところ、皮脂が多いことと抜け毛の相関関係はあまりよくわかっていませんでした。
髪の毛の工場である毛母細胞は毛根の奥になるので、少しくらい毛穴の表面が皮脂で汚れていても悪影響はないとも考えられていました。
ですが大正製薬の最新研究によると、やはり薄毛の人の頭皮には皮脂が過剰に分泌されていることがわかりました。
大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、明治薬科大学薬学部の杉田隆教授と共同で、薄毛と頭皮環境(皮脂、常在菌)の関係性について研究を進めてまいりました。このたび、男性型脱毛症であるAGA患者の頭皮に皮脂成分のトリグリセリド※1、細菌のアクネ菌※2、真菌のマラセチア属菌※3が多く存在することを発見しました。当該研究成果は学術誌Microorganisms※4での掲載に加え、2021年12月11日に順天堂大学本郷・御茶の水キャンパスで開催された第29回毛髪科学研究会のモーニングセミナーにて杉田教授より、その内容が発表されました。
頭皮の皮脂成分は、細菌や真菌の栄養源になると言われています。そのため、当社は日々の髪や頭皮の皮脂ケアを行うことが重要であると考えます。
AGA患者の頭皮にはトリグリセリド、アクネ菌、マラセチア属菌が多く存在する。
今回の発表のポイントはAGA(男性型脱毛症)の患者が対象ってところです。
男性型脱毛症はおでこや頭頂部から薄毛になっていく、最も一般的な薄毛。
遺伝的な要素がとても強く、育毛剤やスカルプシャンプーでは改善が難しいとされています。
男性型脱毛症を改善する方法は実質2択。
①病院で処方される飲み薬
②ミノキシジル配合の発毛剤
しかしながら、男性型脱毛症の発症には遺伝的要素だけではなく、頭皮環境も重要であることが様々な研究から少しずつわかってきています。
頭皮を清潔にすること、育毛剤を使うことも、AGA(男性型脱毛症)にとって全くの無駄ではないってことですね。
脂性の頭皮を改善する方法
脂っぽい頭皮の原因は皮脂腺から皮脂が過剰に分泌されているから。
原因は様々で、遺伝、生活習慣、加齢、ストレスなどが挙げられます。
薄毛の原因にもなる男性ホルモン「テストステロン」も皮脂の分泌を増やす原因となります。
皮脂対策①生活習慣
皮脂の過剰分泌を抑えるには、生活習慣を整えるのが重要です。
睡眠不足、強いストレスが続くと、体内のホルモンバランスが崩れてしまいます。
その結果、テストステロンが増え、皮脂の過剰分泌に繋がる可能性があります。
よく眠り、規則正しい生活を心がければ、少しずつ頭皮環境が改善されていくでしょう。
対策②食生活
脂っぽい食べ物、豚骨ラーメンや揚げ物、ジャンクフード何かを食べた翌日には、顔がテカテカになってしまうことがあります。体質などの個人差はありますが。
顔が脂っぽいってことは、当然、頭皮だって同じ状況になっています。
このように、食生活は皮脂の分泌に大きな影響を及ぼします。
頭皮が脂っぽくて悩んでいるのであれば、脂質を多く含む食品は避けた方が無難ですね。
対策③頭皮を清潔に保つ
頭皮が脂っぽいのを改善するには、日々の頭皮ケアがとても大切です。
毎日の洗髪は欠かさないようにしましょう。
ただし、脂性だからといっても洗いすぎは禁物。
頭皮の皮脂を落としすぎると、それを補おうとして皮脂分泌が促されてしまうこともあります。
夜寝る前にお風呂でしっかり髪と頭皮を洗う。
これで十分です。
また、木の素材でできたブラシで丁寧にブラッシングすることも有効です。
ブラッシングで頭皮に付着した皮脂が髪に行き渡り、髪の毛をコーティングすることもできます。
ブラシがない場合は”手グシ”でもいいので、暇なときはやってみましょう。
頭皮を清潔にしてもAGAが改善されない可能性も高い
大正製薬の研究ではAGA(男性型脱毛症)の人たちの頭皮で皮脂が過剰分泌されていることがわかりました。
皮脂とAGAの関係については言及されていません。
では、頭皮の皮脂を除去すればAGAの進行が遅くなるといえば、そうでもないでしょう。
そもそもAGAの原因は男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)にあります。
DHTが毛根に作用すると、ヘアサイクルが乱れて薄毛が進行していきます。
このDHTですが、薄毛の原因になるだけではありません。
DHTの分泌が多いと、髭をはじめとした体毛は逆に濃くなります。
また、DHTは皮脂腺を刺激して皮脂の分泌を促します。
AGAに悩む人は漏れなくジヒドロテストステロンが多い。
ジヒドロテストステロンは皮脂を過剰分泌させる。
AGA患者の頭皮に皮脂が多いのは当たり前、とも言えます。
皮脂が多いからAGAになったのではなく、ジヒドロテストステロンが多いから薄毛になり皮脂が増えたという流れ。
だから頭皮を清潔にして皮脂を除去したとしてもジヒドロテストステロンが減るわけでもないし、AGAの進行にアプローチしていない可能性の方が高いでしょう。
これはあくまでも可能性のひとつです。
頭皮を清潔に保つのは、薄毛対策としてとても大切なこと。
ですが、それだけやっていてもAGAが改善する可能性は低いでしょう。
薄毛と皮脂の関係まとめ
頭皮の皮脂が多すぎると炎症を引き起こし、それが原因で脱毛が引き起こされる。
これを脂漏性脱毛症と呼びます。
ですが脂漏性脱毛症は体質的なものも関係していますし、ちょっと頭皮の皮脂が多いくらいであれば毎日の洗髪で十分に予防できます。
今回の研究発表のポイントは、やはり「AGA(男性型脱毛症)と皮脂の関係」に着目したところ。
先ほど説明した通り、AGAと皮脂の分泌は密接なかかわりを持っています。
薄毛になる原因はさまざまですが、原因がどうであれ頭皮を清潔に保つことは抜け毛予防に効果的なのではないでしょうか。