ハゲの雑学

薄毛遺伝子を持つ一卵性双生児はふたりともハゲるのか?その検証実験の結果。

2015年8月24日

エルサレムで行われた第15回ヨーロッパ毛髪研究学会で、日本人の小山太郎先生が学会賞を受賞されました。その研究内容は「双子をつかったAGAと遺伝の関係」についてのレポート。

どういった研究結果になったのでしょうか?

ハゲ遺伝子を持つ11組の双子をを使った実験

同じ遺伝子を持つ一卵性双生児、その成長経過の観察は、人間の成長と遺伝因子・環境因子のかかわりについて調べる研究でよく利用されます。

まったく同じ遺伝子をもつ一卵性双生児だからって、まったく同じように育つとは限りません。人間が成長するにあたって遺伝的要素と共に、どんな環境で育ったのか?どんな教育を受けたのか?といった環境因子が大きな影響力を持っているのは言わずもがなでしょう。

ですが、病気の発症リスクについては一概にそうとも言えない部分があります。病気の種類によっては100%遺伝要因でしか発症しないものもあるし、遺伝的に発症しやすくなっているという場合もあります。まったく遺伝的要素のない病気もあります。

 

薄毛に関しては「遺伝論」がすごく根強いです。遺伝的に薄毛になるなら、もう何をやってもハゲる、そう思っている人も多いのではないでしょうか。

病気の種類によって遺伝要因と環境要因の関わりが違ってくるなら、遺伝すると考えられているAGA(男性型脱毛症)の遺伝要因と環境要因との関わりははどんなものなのでしょうか?100%遺伝で決まってしまうのでしょうか?

 

その回答がこの実験にあります。

小山氏の実験は、まったく同じ遺伝子を持つ一卵性双生児11組に対して、1年間同様のAGA治療を施し、その推移をみるという内容。もちろんこの11組の双子は全員、AGAを発症していてハゲやすい遺伝子を持っています。

まったく同じ遺伝子を持った一卵性双生児だったらハゲ具合に差はあるのでしょうか?また、AGA治療の有効性に違いはでるのでしょうか?

薄毛の原因は遺伝だけではないという結果が

11組の内5組が、初診時に毛髪の量に差がありました。つまり同じ遺伝子を持っていたとしても、生活習慣や環境などの育ってきた影響で、薄毛の進行に差があったということになります。(逆に言えば6組が同じ遺伝子を持っていて薄毛の進行も全く同じだったと言えます)

さらにこの5組の内4組において、1年のAGA治療で薄毛の進行に差がみられたのです。

このAGA治療での差にどんな原因があったのかまでは、今回の実験では検証されていませんが、まったく同じ遺伝子をもつふたりでもAGA治療の効果に差があったというわけですね。

一卵性双生児のふたりが全く同じ性格の大人にならないのと同様に、薄毛の遺伝子を受け継いでいたとしても、環境によってハゲたりフサフサのままだったりといった差が現われるということがわかりました。

ハゲを遺伝だからと諦めるな!

遺伝的な薄毛の進行やAGA治療には、薄毛には遺伝因子だけではなく環境因子も関わっているというのは確かなようです。

その代表的な環境因子として、喫煙や飲酒、肥満、血糖値などが考えられています。

この研究結果が私たちに伝える一番大事な事実は「ハゲを遺伝だからと諦めるな!!」ということ。

そしてもうひとつ、育毛活動には遺伝因子にアプローチすることと、環境因子にアプローチというふたつの方法を同時に行うことが重要なのではないでしょうか。

 

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