円形脱毛症

関節リウマチの薬トファシチニブで円形脱毛症の髪の毛が生えてくる!?

2015年7月30日

関節リウマチに許可された薬「トファシチニブ」が円形脱毛症に効く可能性がある、という研究報告がありました。

まだまだ実用化には程遠いと思いますが、その報告内容をお伝えします。

関節リウマチの薬が円形脱毛症に効く!?

 エール大学医学部の研究グループが皮膚病分野の国際誌であるジャーナル・オブ・アメリカン・アカデミー・オブ・ダーマトロジー誌のオンライン版に2015年7月17日に報告した

関節リウマチに許可された薬、トファシチニブ(一般名、商品名はゼルヤンツ)が湿疹を引き起こす免疫応答を遮断できると想定した。

従来の治療で治る兆候のなかった6人の中度から重度のアトピー性湿疹がある人にこの薬を使ったところ劇的な改善が確認できた。

さらに研究グループはトファシチニブが自己免疫疾患の円形脱毛症の髪を再び生やすと示している。

参照元:YaleNews 翻訳記事「Medエッジ」

この研究によると関節リウマチの薬は免疫機能を抑える効果があり、その為アトピー性皮膚炎や円形脱毛症に効く可能性があるというもの。

確かに円形脱毛症の原因で最も多いのがストレスなどの外部要因ではなく、「免疫機能の異常」であることはわかっています。

トファシチニブが免疫機能の異常を抑える効果があるとしたら、確かに円形脱毛症にも効果があるでしょう。

 

似たような内容の研究を、米国コロンビア大学の病理学と皮膚科学の共同研究グループ発表しています。

こちらの研究はリウマチの薬である「JAKキナーゼ阻害薬」を円形脱毛症のマウスに投与し、ちゃんと毛が生えてくるか検証するというものでした。その結果、マウスはほとんど完全に毛が生えたといいます。

このJAKキナーゼ阻害薬は人間に対する臨床試験も行われていて、そちらでも円形脱毛症の発毛に効果があったとのこと。

なんだか難しい単語ばかりですが、簡単に行ってしまえば「JAKキナーゼ阻害薬=トファシチニブ」になります。つまりふたつの研究は、同じ薬を使って同じ結果を得たと言えるでしょう。

育毛の薬は元々別の病気の薬だった!?

センブリエキスなどの自然由来の成分は別にして、現在効果の認められている育毛成分は、もともと別の病気のために開発されたものが多いです。

AGAに抜群の効果を示すフィナステリドも、もともとは「前立腺肥大の治療薬」として開発されました。リアップに使われているミノキシジルは、もともと「高血圧治療剤」として開発された経緯があります。

全く別の病気を改善しようとした薬が、副作用として発毛の効果がある。同様にトファシチニブも「リウマチの薬」として開発されましたが、いずれは円形脱毛症の特効薬として発売されるかもしれません。

ただし、トファシチニブの副作用は頭痛・下痢・肝機能障害・ヘモグロビン減少などがあり、円形脱毛症の治療薬として認可されるのにはもうちょっと時間がかかるかもしれません。

ですが、すでにトファシチニブはリウマチの薬として、日本国内でも入手することが出来ます。

 

円形脱毛症の治療として個人の判断でトファシチニブを服用するのは、絶対にやめた方が良いでしょう。

きちんと皮膚科の診察を受けて適切な処方を受けるのが大事。現在でも有効な円形脱毛症の治療法はたくさんあります。

でもいつか、円形脱毛症治療の選択肢のひとつにトファシチニブが加えられる日が来るかもしれませんね。

円形脱毛症の治療法。その5つの種類について紹介。

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