インフルエンザや風邪で40度以上の高熱が続いて苦しんでいたら、熱が下がった後に髪の毛が全部抜けてしまった…。
そんな怖い話を聞いたことがないでしょうか。
毛根が発熱によってダメージを受けて、髪の毛が抜けてしまうのです。
「とんでもない精神的ショックを受けて一晩で髪が真っ白になってしまった…」
なんて話がありますが、これはあくまでも都市伝説。
確かに強いストレスが白髪の引き金になる可能性はありますが、一晩で真っ白なんて事にはならないでしょう。
では、この「発熱→脱毛」の話も都市伝説なのでしょうか?
実はそうとも言えないようなのです。
高熱による薄毛は、「中毒性脱毛症」が原因かもしれないからです。
発熱と脱毛の関係を紹介します。
高熱による抜け毛と中毒性脱毛症
中毒性脱毛症は精神的・身体的なストレスが原因で髪が抜けてしまう症状の事を指します。
強いストレスが原因で薄毛になるのも、中毒性脱毛症のひとつというわけですね。
抗がん剤治療による身体的ストレスが原因の脱毛も、広義的には中毒性脱毛症に分類されます。
それらと同様に、40度以上の高熱も大きな”身体的ストレス”になります。
発熱によって毛根にダメージが残り、それによって髪の毛の成長が一時的に止まってしまうわけです。
髪の毛は一定のヘアサイクルを持っていて、脱毛と成長を繰り返しています。
高熱で毛根がダメージを受けると髪の毛の成長が一時的に停止してしまいます。ですがこのダメージは一時的なもので、回復すれば再び正常なヘアサイクルが活動を開始します。
毛根へのダメージで一時的に成長が止まるのですが、ヘアサイクルも正常に稼働しているので、髪の毛が抜けるタイミングもみんな一緒になってしまいます。だから、髪の毛がいっせいに抜けてしまうんですね。
これが高熱による抜け毛・脱毛のメカニズムです。
一部分だけ脱毛する場合は、円形脱毛症の可能性があります。
おでこや頭頂部が薄くなる場合は、遺伝的要素が強いAGA(男性型脱毛症)でしょう。
でももし、頭髪全体でまんべんなく抜け毛が増えたとしたら、そして高熱を体験していたとしたら、中毒性脱毛症の可能性があります。
40度以上の発熱のあと、1週間~3か月以内に抜け毛が増える可能性があります。
また、脱毛の原因として「免疫機能のトラブル」の可能性も考えられます。
発熱するという事は、体内で白血球などの免疫が頑張って戦っている証拠。
外敵であるウィルスなどを駆逐するために戦い、その結果発熱します。
発熱するという事は、体内で免疫とウィルスが戦争をしているって事ですね。
その過程で何らかの理由で免疫機能がトラブルを起こしてしまう、そうして自分自身の免疫機能が毛根を攻撃してしまう。
攻撃された毛根は新しく髪の毛を作るのを止めてしまうので、脱毛になります。
風邪の場合もそうですが、インフルエンザやおたふくかぜの後に、免疫機能の不具合が原因で脱毛するケースがわずかにあるようです。
高熱後に脱毛してしまった場合の対策
もし高熱を出した後に、髪の毛が抜ける量が増えたら、どの様な対策が考えられるでしょうか?
まず、知っておいてほしいのは、毛根へのダメージであれ、免疫機能が原因での脱毛であれ、その影響は一時的なことがほとんどであるという事。
大体は、なにもしないでおいても、自然に髪の毛が生えてきます。
酷い場合は髪の毛の半分くらいも脱毛して頭皮が目立つ状態になってしまい、とっても不安を感じるでしょう。
でも、一定期間が過ぎれば一気に髪の毛は生えてきて、元通りになっちゃうのです。
これらのケースの脱毛は、たとえ髪が抜けたとしても毛根は死んでいません。必ず再び生えてきます。(男性型脱毛症の場合は毛根の活動が低下して脱毛するので、その改善がとても難しいです)
それでももし、長期間薄毛の状態が続いたとしたら、皮膚科に行き、発熱した事実を伝えた上で相談してみましょう。
*具体的には発熱から4か月以上経過しても抜け毛にまったく改善が見られない場合は、念のため皮膚科に相談したほうがいいかもしれません。
病院に行くのが一番ですが、個人で出来る対策もあります。毛根へのダメージも免疫機能のトラブルによる脱毛も、頭皮の血行促進は発毛するために有効な対策です。
同様に、頭皮を清潔に保つことも大事。
血行促進効果のある育毛剤を使用したり、頭皮に優しいシャンプーを使用するようにしましょう。
ともあれ、高熱を出していたわけですし、病み上がりは休息が一番大事。
バランスの良い食事を食べてよく眠るのが、身体にも育毛にも一番ではないでしょうか。