以前「ハゲていると前立腺がんになりやすいという研究結果!がんとAGAの関係について」という記事でも触れましたが、AGA(男性型脱毛症)と前立腺がんは密接な関係があります。
それは発症リスクを上昇させる原因物質が同じだからです。
そのため、前立腺がんとAGA(男性型脱毛症)の治療薬は同じなのです。
最近、前立腺がんの予防効果があるとして「エクオール」という物質が注目を浴びています。
前立腺がんに予防効果があるのだとしたら、エクオールにはAGAの予防効果もあるはず!!
というわけで、このエクオールの効果や摂取する方法について紹介します。
ハゲと前立腺がんを予防するエクオールとは?
AGAも前立腺がんも、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンの一種によってリスクが上昇します。
このジヒドロテストステロンは正常な育毛サイクルを乱し、抜け毛を促進する作用がありますが、同時に前立腺がんの発症リスクを上昇させる作用もあることで知られています。
ジヒドロテストステロンは、男性ホルモンのテストステロンと皮膚に存在する5αリダクターゼという酵素が結びつくことで発生します。
テストステロンそのものに抜け毛を増やす作用はありませんが、ジヒドロテストステロンは毛根に作用して髪の毛を作る働きを阻害してしまいます。
頭皮の前頭部や頭頂部には5αリダクターゼが広く分布しているので、特に薄毛になりやすいのです。
育毛クリニックで行われる薄毛治療では、「5αリダクターゼの働きを阻害する薬」を服用します。(前立腺肥大などの治療にも同じ薬が使われます)
5αリダクターゼの働きを阻害すれば、どれだけ男性ホルモンが多くてもジヒドロテストステロンの生成を抑えることができるのです。
では、話をエクオールに戻しましょう。
実は近年、前立腺がんの研究の中で、「エクオール」という物質の効果が注目されています。
エクオールに前立腺がんを予防する強い効果があることがわかったのです。
エクオールは男性ホルモンのかわりに5αリダクターゼと結合することで、ジヒドロテストステロンの生成を阻害する働きがあるとか。
そのために、前立腺がんのリスクが低下したと考えられています。
「ジヒドロテストステロンの生成を抑える」という働きは多くのAGA治療薬と同じですね。
つまりエクオールが体内に増えれば、前立腺がんの予防と同時に、AGA(男性型脱毛症)の予防や改善につながると考えられます。
でも、エクオールってなんなのでしょうか??
食べ物に含まれる栄養素?
それとも薬の成分??
実はエクオールは、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインを腸内細菌が代謝すること作られる物質。
ただ大豆をたくさん食べれば体内のエクオールが増えるってわけではないのがポイントです。
大豆に含まれるイソフラボンの種類
- ダイゼイン
- ゲニステイン
- グリシテイン
これらのイソフラボンは腸内細菌で分解されアグリコンとなり、消化吸収されます。なかでもダイゼインはエストロゲン活性の強いエクオールのなって吸収されるのです。
エクオールを増やすには大豆製品と腸内細菌との2つが必要になるんですね。
腸内細菌と薄毛・ハゲの意外な関係
体内でエクオールを増やすには大豆製品を摂取することが有効です。
大豆を食べると、体内に存在する腸内細菌によって、大豆イソフラボンからエクオールが生成されるのです。
大豆イソフラボンからエクオールを作り出すことができる細菌のことを、その発見者のイニシャルから「NATTS(ナッツ)菌」と呼びます。
このナッツ菌を保有している日本人は、実は半数以下。
しかも若い人ほど、ナッツ菌を保有している確率が低いのです!
ナッツ菌を保有していないと、せっかく納豆や豆腐などの大豆製品を食べてもエクオールが生成されず、薄毛改善効果が半減してしまうでしょう。
では、体内でたくさんエクオールを生産するにはどうすればいいのでしょうか?
ナッツ菌を増やしてエクオールを作る方法は??
日本人の約半数が、腸内にナッツ菌を保有しておらず、大豆イソフラボンからエクオールを作れない体質ということになります。
では、もともと腸内にナッツ菌をもっていない人が、ナッツ菌を獲得する方法があるのでしょうか?
腸内細菌(腸内フローラ)の内容に最も影響を与えるのが、普段の食生活です。
ビフィズス菌であればヨーグルトを食べればいいのですが…ナッツ菌を増やすにも、なんらかの食物を摂取する必要があると考えられます。
ですが、ナッツ菌の研究はまだ始まったばかりで、ナッツ菌が自然界のどこに存在するのか、腸の中のどこに生息するかすらわかっていません。
また、ナッツ菌そのものをサプリメント化して摂取するような技術も開発されていません。
残念ながら、今のところナッツ菌を獲得したり、増やしたりする方法はないのです。
でも、方法がないわけではありません。
まだまだ研究は途中ですが、エクオール菌と食生活の関係を調べた報告もあります。
エクオール生産菌を増やす食生活
最新の研究では、炭水化物や食物繊維などがナッツ菌(エクオール生産菌)に関わっていることがわかっています。
研究でわかったオススメの食材を紹介します。
①冷えたおむすび
レジスタントスターチを食べるとエクオール生産菌が増えるとか。
レジスタントスターチは難消化性でんぷん、つまり消化しづらいでんぷん質のこと。
これだけじゃあ何のことかわからないと思いますが、簡単に言えば冷えたおむすびのことです。
冷えたご飯は硬くなりますね。あれはご飯のでんぷん質が消化しづらいレジスタントスターチに変化しているから。
逆にほかほかご飯は柔らかくて消化しやすいご飯です。
体内でエクオールを増やすには、冷えたおむすびがオススメなんですね。
もちろん、他の食べ物でも冷えるとでんぷん質がレジスタントスターチ化するので、冷めた食べ物ばかり食べるのがオススメかもしれません(消化しづらくなるのでダイエット効果もあります)
②食物繊維
食物繊維を食べるとエクオール生産菌が増えるのがわかっています。
食物繊維は腸内で善玉菌のエサになるので、エクオール生産菌も増えるのかもしれません。
③ラフィノース
オリゴ糖の一種であるラフィノースがエクオール生産菌を増やします。
オリゴ糖は腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えるます。
なかでもラフィノースは特にエクオール生産菌が大好きなのかもしれません。
ラフィノースはビートという植物から精製して作られます。
ラフィノースが含まれたフラクトオリゴ糖を普段から使っていれば、腸内のエクオール生産菌が増えるかもしれませんね。
和食でエクオール生産菌が増える
海外に移住した日系人の腸内フローラを調べてみると、ナッツ菌を保有している人はほとんどいないそうです。
研究調査では20代日本人のナッツ菌保有率はわずか2割程度、それが10代になるとさらに低下して1割程度になってしまいます。
あくまでも推測ですが、海外に移住した日本人にナッツ菌がいないことや若い人たちのナッツ菌を保有率が低いことを合わせて考えると、ナッツ菌が少なくなる原因は「食生活の欧米化」ではないでしょうか。
ナッツ菌(エクオール生産菌)を増やすには、腸内環境を整えて善玉菌を増やすのが有効です。
そのためには、肉食中心の食生活を控え、ファストフードやジャンクフードを控えるのが大切です。
そうして、先ほど紹介した食材やm野菜、ヨーグルトなどを食べるのがいいでしょう。
たとえエクオール生産菌が少なかったとしても、昔ながらの日本食をメインにした食生活を送れば…
ひょっとしたらナッツ菌を獲得できるかもしれません。(ちなみに、腸内フローラは2週間くらい食生活を変えるだけでかなり変化します)
最新技術でエクオールのサプリメントが開発される
ナッツ菌を保有していないとしたら、ジヒドロテストステロンの生成を抑えるエクオールはどのように増やせばいいのでしょうか?
実は、まだまだ数は少ないものの、エクオールを配合したサプリメントは販売されています。
たとえ腸内のナッツ菌がいなかったとしても、エクオールを直接摂取すればジヒドロテストステロンの生成を抑えることができます。
エクオールのサプリメントは男性ではなく、女性を対象に販売されています。
エクオールは大豆イソフラボンから作られていて、女性ホルモンと似た働きをするからです。なので、エクオールには更年期障害の改善などの効果もあります。
エクオールのサプリメントはジヒドロテストステロンの生成を抑えるので、男性にとっても「AGAの予防と改善」「前立腺がんの予防」の効果を得られるでしょう。
もちろん、女性のFAGA(女性男性型脱毛症)にも効果的だと考えます。