円形脱毛症

日本皮膚科学会の円形脱毛症ガイドラインで紹介されている治療方法と、それに対する評価まとめ

2017年1月30日

円形脱毛症は普通の薄毛とはまったく違ったシステムで脱毛が始まります。

普通のハゲは中年以降になりやすい、ストレスが多いとなりやすい、なんていわれますが、円形脱毛症の発症にはあまり関係がありません。

男女の差、年齢の差、関係なる発症する可能性があります。

その治療方法も、普通の薄毛のように頭皮の血行を促進したり、育毛剤を塗布するといった治療方法ではなく、円形脱毛症の原因にアプローチする治療方法になります。

円形脱毛症の原因はまだまだはっきりとはわかっていませんが、改善効果のあるさまざまな治療法が存在しています。

「日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン2010」で紹介されている、円形脱毛症の治療方法と、それに対する評価をまとめてみました。

日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドラインで紹介されている治療方法と、それに対する評価まとめ

まず最初に、治療方法の基準となる「推奨度の分類」と円形脱毛症の重症度の基準となる「進行の指標」を紹介します。

推奨度の分類

A:行うよう強く勧められる

B:行うよう勧められる。

C1:行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない

C2:根拠がないので勧められない

D:行わないよう勧められる

治療方法別に専門家が論文などを検証し、オススメからやらない方がいいまで、推奨度を設定しています。

円形脱毛症の進行の指標

S0:脱毛がみられない

S1:脱毛巣が頭部全体の25%未満

S2:脱毛巣が25~49%

S3:脱毛巣が50~74%

S4:脱毛巣が75~99%

S5:100%脱毛

B0:頭部以外脱毛なし

B1:頭部以外に部分的な脱毛がみられる

B2:全身すべて脱毛

円形脱毛症は症状の進行に合わせて、段階的に区分されています。

免疫機能の疾患ともいわれているので、症状が悪化すると、頭髪だけでなく眉毛や体毛なども抜けてしまう場合があります。

円形脱毛症治療の評価

治療法推奨度推薦文
ステロイド局注B症状が固定したS1以下の単発型、多発型の成人症例に用いるべきである
局所免疫療法B年齢を問わず症状の固定したS2以上の多発型、梵発型の症例に第一選択として行うべきである
ステロイド内服C1発症後6か月以内の急速に進行するS2以上の成人症例に用いてもよい
点滴静注ステロイドパルス療法C1脱毛が急速に進行しているS2以上の成人症例に用いてもよい
第2世代抗ヒスタミン内服C1アトピー素因を持つ単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして用いてもよい
セファランチン内服C1単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして用いてもよい
グリチルリチン・メチオニン・グリシン複合材C1単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして用いてもよい
ステロイド外用C1前頭型の第一選択肢として用いてもよい
塩化カルプロニウム外用C1単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして用いてもよい
ミノキシジル外用C1単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして用いてもよい
冷却療法C1単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして用いてもよい
直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)C1単発型および多発型の症例に併用療法のひとつとして用いてもよい
PUVA療法C1成人例で局所免疫法が無効な前頭型や梵発型ので行ってもよい
シクロスポリンA内服C2現時点では推奨できない
漢方薬内服C2現時点では推奨できない
精神安定剤内服C2用いない方が良い
アンスラリン外用C2用いない方が良い
星状神経節ブロックC2行わない方が良い
催眠療法C2行わない方が良い
鍼灸治療D行うべきではない
分子標的治療薬D用いるべきではない
カツラC1局所免疫法が無効な多発型・前頭型・梵発型に用いてもよい

参照元:日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン2010

 

推奨度Aの「行うよう強く勧められる」という治療法はまだ存在しないようです。

というわけで、円形脱毛症は推奨度Bに区分される「ステロイド局注」や「局所免疫法」が治療方法の第一選択肢となります。同時に推奨度C1以上の方法を併用して行われることが多いようです。

 

ステロイドは炎症を抑えたり、免疫機能を抑制する効果があります。このステロイドを脱毛部分に直接注射するのが「ステロイド局注」という治療方法。

免疫機能が異常をきたし、毛根を攻撃してしまうのが円形脱毛症の要因と考えられるので、その免疫機能を抑制することでが脱毛の改善に繋がります。

 

局所免疫法は、頭皮の脱毛部分に特殊な薬品を塗布し、わざとかぶれを引き起こす治療法。この”軽いかぶれ”を繰り返し発生させると、円形脱毛症の改善につながります。こどもでも安全に行えるのが特徴です。

 

ステロイド局注や局所免疫法のほかにも、たくさんの治療方法があるので、その中からどれを選択するのかは、患者の年齢、発症してからの期間、進行度合いなどを総合的に判断します。

どんな方法であれ、円形脱毛症は症状が軽いうちに医療機関を受診した方が、治療しやすくまります。

円形脱毛症は発症しても、そのほとんどが自然に快方に向かいますが、もし不安であれば早めに近所の皮膚科を受診した方がいいでしょう。

薄毛治療は健康保険の対象ではありませんが、円形脱毛症の治療は保険の対象になります。(一部の治療方法は保険の対象外ですが)

薬には副作用などもあるので、安全に、確実に治療するには、担当医師の説明を十分に聞くのが大切ですね。

 

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