育毛剤と言えば頭皮に塗るタイプのものと思いがちですが、飲む育毛剤もあります。
最も有名な飲む育毛剤に「プロペシア」という錠剤タイプの薬があります。
プロペシアの主成分がフィナステリド。
フィナステリドは前立腺肥大に対して使用される薬だったのですが、服用してみると髪が生えてくるという副作用?が発現し、育毛剤として使用されるようになりました。
このフィナステリドが重篤な副作用や後遺症を起こす可能性があるようです。
フィナステリドが重篤な副作用や後遺症を起こす可能性がある!?
プロペシア(フィナステリド)が育毛に効く仕組み
プロペシアは遺伝の強いAGA(男性型脱毛症)タイプの薄毛にも効果を発揮する、飲む育毛剤です。
AGA(男性型脱毛症)の原因は脱毛ホルモンであるジヒドロテストステロンが毛根で悪さをするから。
プロペシア(フィナステリド)がなぜ育毛に効果があるかというと、脱毛ホルモンであるジヒドロテストステロンの生成を阻害するからです。
ジヒドロテストステロンは毛根にある5αリダクターゼという酵素と男性ホルモンのふたつが合わさって生成されます。
フィナステリドは5αリダクターゼの働きを阻害することで、結果的にジヒドロテストステロンの発生を防ぐ効果があります。
ハゲの原因であるジヒドロテストステロンが作られなくなると、ハゲの進行が止まって髪が生えてくるわけですね。
このフィナステリドはハゲてからどれくらい時間が経過しているかによって、効果が変わってくると言われています。
毛根から脱毛して5年~10年ほどたってしまうと、フィナステリドでも発毛する確率は減ってくるようです。
薄毛対策は早めに行うのが肝心という事ですね。
フィナステリドの副作用
国内臨床試験においての結果ですが、フィナステリド 1mg日内服により、2.9% に勃起機能不全、射精障害、精液量減少など性機能障害が現れたようです。
またプロペシアが日本よりも普及している海外では、2012年にポストフィナステリド症候群財団(PFS)が設立され、プロペシアの後遺症や副作用の危険性について訴えています。
それによると、性機能障害のほかにも鬱や不眠症の原因になったりするようです。
フィナステリドが5αリダクターゼの働きを阻害することで、ジヒドロテストステロンの発生を抑えるわけですが、それは同時に他の成分の発生も阻害します。
フィナステリドの服用で減少する代表的な物質が「ニューステロイド」。
ニューステロイドは気分の安定に一役買っており、減少すると鬱になったりしてしまうようです。
フィナステリドの副作用
- 勃起機能不全
- 射精障害
- 精液量減少
- 肥満
- 倦怠感
- 鬱
- 気分障害
- 肝機能障害
- 体毛が濃くなる
- 陰毛が白髪になる!
もし副作用が出た場合は服用を止めることで、その副作用も収まるものです。ですが重篤な副作用になると、服用を止めても内分泌系の異常が残り、性機能障害や性欲減退の後遺症が残ってしまうようです。
フィナステリドで自殺率が上昇する
海外の研究では、フィナステリドの服用が特に45歳以下の男性の自殺リスクを上昇させるという報告があります。
フィナステリドの副作用で不眠症や性機能障害になってしまう。
服用を止めても性機能障害、不眠症、倦怠感の副作用が改善しない。
その結果として、うつ状態になり、自殺のリスクが上がってしまうのだとか。
(服用を止めても副作用が継続するところが怖いですね)
万が一、フィナステリドを服用して上記のような副作用があらわれたら、すぐに主治医に相談した方が良さそうです。
フィナステリドは糖尿病の発症リスクも上げる
5α還元酵素阻害薬(デュタステリドまたはフィナステリド)の投与を受ける良性前立腺肥大症患者は、タムスロシンの投与を受ける患者と比較して2型糖尿病の新規発症リスクが上昇することが示された。
糖尿病は1型と2型があり、1型は自己免疫が原因で起こる疾患です。生活習慣や食生活が原因の2型糖尿病とは違い、こどもでも発症することがあります。
フィナステリドを服用すると、2型糖尿病のリスクが上がってしまう可能性があるとの研究が発表されました。
大規模な調査の結果、なんとフィナステリドの服用者は2型糖尿病の発症リスクが30%も上がってしまうのだとか。
フィナステリドを服用しているのなら、暴飲暴食は避け、健康的な生活習慣を心がける必要がありそうです。
女性はプロペシア(フィナステリド)を飲んじゃいけない
副作用の問題以前に、女性はプロペシア(フィナステリド)を飲んではいけません。
更年期以降に発生した女性の男性型脱毛症について、フィナステリドは効果ナシという結果が出ています。
また、妊婦や妊娠している可能性のある方の服用は、こどもに悪影響がある可能性があります。
そういった理由から女性は薄毛治療にフィナステリドを飲んではいけません。
ですので病院側としても、女性に対してプロペシア(フィナステリド)を処方することはないでしょう。
プロペシア(フィナステリド)での副作用を防ぐために
フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)の治療において、最も有効な方法のひとつです。
ですがやはり強い薬なので、その分副作用も発生する可能性が高いのでしょう。
ポストフィナステリド症候群財団(PFS)はアンチ・フィナステリドな組織なので、発表する研究結果はプロペシア=悪というバイアスが当然かかっています。
「プロペシアは育毛に効果アリ!副作用も問題ないレベルだよ!」という意見も、製薬業界や医療関係者のお金儲けの為、という捉え方だって出来ます。
ネットの口コミも真偽のほどはわかりません。
そんな中で自分の身を守るには正しい知識を身に着けて、医師と相談の上で服用することが大切ではないでしょうか。
副作用の心配について、親身に対応してくれる医師を受診したいものですね。
そしてもし、何らかの副作用の兆候が現れたら、すぐに相談してみましょう。
…薬と毒の違いはなんでしょう?
それは成分の違いではなく、分量の違いです。
あらゆる薬が多量に服用したら毒になるし、毒といわれるのもの少量の服用で薬になったりします。
睡眠薬が自殺に使われたり、ボツリヌス菌が美容に使われたりしてますよね。
薬を服用する際に、その分量ってのは一番大事になってきます。
- 用法用量を守ること。
- 信頼のおける医師を受診する事。
- 副作用の症状を知ること。
その上で自分の身体の変化に敏感になることが、副作用を防ぐための有効な手段ではないでしょうか。
フィナステリドは前立腺がんのリスクを下げる
最新の研究では、AGA(男性型脱毛症)治療薬のフィナステリドに、前立腺がんのリスクを下げる作用があることもわかってきました。
というのも、AGAと前立腺がんはその発症原因が同じだから。
先ほど、AGAには男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン」がかかわっていると説明しましたが、このジヒドロテストステロンは前立腺がんのリスクも上げてしまう作用を持っています。
フィナステリドでジヒドロテストステロンの生成が抑えられれば、AGAと同様に前立腺がんの予防にもつながるんですね。
特に男性は40代以降ともなると、多かれ少なかれ前立腺が肥大していくもの。
前立腺がんのリスクも、歳を重ねるごとに上昇していきます。
その意味では、AGAの治療を続けることは、薄毛改善だけではなく、前立腺がんの対策にもなるってわけですね。