肥満はハゲやすい、そんなイメージがあります。
汗をかきやすく、頭皮も汚れやすい。だから薄毛リスクが高い…。
でも、太っていると本当に薄毛や抜け毛が増えるのでしょうか??
- 脂肪細胞が増えることで髪の毛に与える影響とは?
- 肥満が薄毛につながる本当の理由
- 太っていてもいつまでも健康な髪を維持する方法。
太っていて薄毛リスクに悩む方のために、肥満と髪の毛の関係を詳しく解説します。
肥満はなぜ薄毛や抜け毛を引き起こすのか?
なぜ太っていると薄毛リスクがあがるのか、まずはその理由を説明します。
…と、それを説明する前に「肥満の定義」について簡単に紹介しましょう。
自分の肥満度はBMI(体格指数)を調べることで簡単に判断できます。
基本的にBMIが25以上だった場合は肥満体型とされます。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
自分のBMIは、この計算式に自分の身長・体重を当てはめれば簡単に算出できます。
たとえば身長160センチで体重が60キロだった場合は「60÷1.6÷1.6=23.4」で、BMI=23.4となります。
BMIが23.4であれば標準体型といえるでしょう。このBMIが25以上になってしまうと肥満体型である可能性が高いので注意が必要です。
では話を戻して、肥満体型が薄毛リスクを上昇させる理由を検証してみましょう。
毛細血管の血流が悪くなる
肥満はさまざまな生活習慣病のリスクを上げてしまいます。
糖尿病、高血圧、高脂血症、痛風…これらの疾患はすべて肥満と関係しいているとか。
その理由は、太っていると血液も太るから。
つまる血中のコレステロール値が高くなっちゃうってことです。
そうすると血液がドロドロになり、心筋梗塞や脳卒中の原因になります。
そればかりか、血液がドロドロで血行不良になるので、頭皮の血行も悪くなる。
毛包に栄養を送り届けるのは細い毛細血管なので、ドロドロ血液の影響を受けやすく、すぐに血行不良になってしまいます。
頭皮の血行が悪くなれば、毛髪に栄養がいきわたらなくなって薄毛の原因になるでしょう。
余談ですが、世界で最もハゲが多い国はチェコでは、なんと男性の薄毛率が4割以上!!チェコの食事は野菜を食べない肉食中心で、ビールをたくさん飲むというもの。この影響で血液がドロドロになり、薄毛を引き起こしている可能性があります。
脂肪分の多い高カロリーの食事を控えて、野菜中心の食生活、それに加えて適度な運動を行えばサラサラ血液になるのではないでしょうか。
肥満と血中コレステロールの上昇は、突然死のリスクが上がるだけでなくハゲのリスクも高くなるのです。
皮脂の分泌が多くなり、頭皮が汚れる
「太っている→頭皮の皮脂の分泌も増えて頭皮環境が悪化する→ハゲる」
という方程式が昔からよく言われますが、最近では皮脂の分泌はそれほど薄毛の原因にはならないともいわれています。
髪の毛を作り出す毛包は毛根の奥にあるので、表皮に少しくらい皮脂があってもまったく影響を受けません。それに皮脂は頭皮を紫外線などの外からの刺激から守るという重要な役割を持っています。洗浄力の強いシャンプーで皮脂を落とし過ぎると、逆に脱毛の原因になってしまうでしょう。
たしかに皮脂は直接的に薄毛の原因になりませんが、それでも皮脂を長時間放置しておくのはあまりオススメできません。
たくさん分泌された皮脂や、汗などを長時間放置しておくと、カビや雑菌の繁殖原因になり、頭皮環境を悪化させてしまうからです。
とっても対策は簡単。わけのわからない化学成分の含まれているものではない、頭皮に優しいスカルプ・シャンプーを使って1日に1度洗髪するだけで大丈夫。
逆に言えば、肥満体型の場合は普通体型の人よりも頭皮環境が悪化しやすいといえるので、1日に1度は洗髪をした方がいいでしょう。
髪を手グシでさっととかしてみてください。通常でも頭皮の油は出続けているので、ちょっとは油分が着くと思います。だけど指先が油でベットベトになったとしたら、皮脂が出過ぎているかもしれません。
体質的に乾燥肌の人もいますし、脂性の方もいます。
もし頭皮がベトベト気味であるのなら、頭皮に優しいスカルプシャンプーで適度に洗う必要がありますね。
肥満ではなく”肥満の原因”が薄毛を引き起こす
そもそも肥満になる原因はなんでしょうか?
- 運動不足
- 高カロリーのものを食べ過ぎる
- ストレス
- ホルモンや自律神経のバランスの崩れ
これらの肥満の原因は、そのまま薄毛の原因になりえるものばかりです。
どちらかというと、肥満そのものではなく肥満になった原因の方が薄毛を引き起こす可能性があります。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」といわれますが「健全な毛髪は健康な肉体に生える」とも言えるでしょう。
特に食生活は重要。
たくさん食べて、太ったら食事制限中心のダイエット、その後にファストフードばかり食べてまた太る…。
そんなことを繰り返していると、髪の毛を作り出すたんぱく質やビタミンがしっかりと摂取できず、だんだんと髪の毛が細くなっていって薄毛になってしまうかもしれません。
バランスのよい食生活を心がけ、ダイエットをするのも運動を中心とした方法を選ぶのが大切ですね。
適度な脂肪は育毛と抜け毛予防のために大切!!
肥満体形だと血液がドロドロになるし、頭皮が汚れて抜け毛が増える…と紹介しましたが、トンデモナイ肥満体でもない限り、肥満が原因で薄毛になることはあまりないでしょう。
むしろ痩せすぎのほうが薄毛リスクを高めてしまいます。
過剰に太った人と、ガリガリに痩せた人を比べた場合、痩せすぎの人のほうが髪の毛が細く、抜けやすい状態になりがち。
というのも、脂肪細胞は女性ホルモンのエストロゲンを作り出すサポートをしてくれるから。
一見関係がないように思われるかもしれませんが、「体脂肪」と「女性ホルモンの分泌」は密接な関係があります。
例えば女性が拒食症になったり、過剰なダイエットを行うと、月経が止まってしまうことがあります。
肥満体型で脂肪が多い女の子は、痩せている女の子よりも成長が早いです。
その理由は、脂肪細胞が女性ホルモンのエストロゲンを生成する機能を持っているから。女性ホルモンは卵巣だけで作られるわけではなく、脂肪細胞でも作られるのです。
もし過剰なダイエットで皮下脂肪が少なくなったとしたら?
女性ホルモンの分泌が減り、その結果として月経が止まってしまったり、肌が荒れたり、髪の毛がパサついたりします。逆に脂肪が多い女の子は、その分女性ホルモンの分泌も多いので、女性としての成長が早いのです。
もちろん大人になってからも、しっかりと皮下脂肪がある女性の方がエストロゲンの分泌量が多いので、更年期障害になりずらかったり、肌荒れなどに悩むこともないでしょう。
脂肪細胞はエストロゲン前駆体をエストロゲンに変換する役割があるわけですが、それは女性だけでなく男性にも言えます。
本来男性の女性ホルモン分泌量は、女性の10%程度といわれています。ですが、男性でも脂肪のたっぷりついた肥満体型だと、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増加します。
肥満体型でエストロゲンが増加した結果、すこしだけ乳房が膨らむケースもあります。太っている男性の胸が膨らむのは、そこに脂肪が詰まっているからという理由もありますが、エストロゲンの作用で膨らんでいる可能性もあるのです。
太っていることはさまざまな成人病の原因になりますが、適度に脂肪細胞を蓄えていることは、むしろ育毛にとってメリットがあるといえるでしょう。
太っている人が育毛のために気をつけたいこと。
女性ホルモンのエストロゲンといえば、育毛にとってもとても大切なホルモンです。
女性は男性に比べて薄毛になる割合が圧倒的に少ないですが、その理由はエストロゲンの美しい髪質を保持したり、新しい髪の毛を作り出す効果にあります。
大豆イソフラボンが育毛にとっても良いといわれるのも、イソフラボンがエストロゲンと似たような構造をした栄養素だからにほかなりません。
エストロゲンの量が多ければ、薄毛になるリスクは下がるといっていいでしょう。
脂肪細胞がエストロゲンを増やすとしたら…太っていることは、それ自体では薄毛を引き起こす要因にはなりえないでしょう。
お相撲さんを見ても、ハゲている人はそんなにいませんよね。むしろ、毛量が多く、キレイな黒髪の力士が多い。大銀杏を結うために伸ばした長くて豊かな黒髪は、脂肪を蓄えたことによる女性ホルモンの影響かもしれません。
過剰なダイエットや栄養不足が薄毛を引き起こすケースはよくありますが、逆に太り過ぎで薄毛になったというケースはそれよりも少ないと考えられます。
少しくらい脂肪がついていた方が、髪の毛にとっては良い影響があるのは間違いないでしょう。
ですが、太り過ぎはやはり薄毛を引き起こす原因になります。
次は、太っている方が薄毛にならないための注意点を紹介します。
太っていてもいつまでも健康な髪を維持する3つの方法。
急激なダイエットはやらない
ハゲにならないためにも、まず第一に痩せる事が大切です。ですが、急激なダイエットは逆に薄毛を促進します。
食事制限によるダイエットは、大切な栄養素を補給することができず、脱毛を引き起こす可能性があります。
こちらの記事でも詳しく書いていますが、食事制限によるダイエットではなく、きちんと運動でカロリーを消費するダイエットを行うのがポイント。
運動をすれば前震の血流が増加し、頭部の毛細血管も活性化します。
ちゃんと洗髪をしよう
次にきちんと頭皮を清潔に保ちましょう。
肥満の方は普通の人よりも汗をかきやすく、頭皮が皮脂で汚れやすいので、ちゃんと毎日丁寧に洗髪する必要があります。
油っぽい食事を控えるのも、皮脂の分泌を抑えることが出来るので大切。
バランスの良い食生活を心がけましょう。
脂っこい食べ物は控えよう
脂っこい食べ物、甘いもの、高カロリーの食べ物は、できる限り控えた方がいいでしょう。
こういった美味しい食べ物は脳の報酬系を刺激して、ある種の快感物質を作り出します。
だから「ああ…フライドポテト食べたい!」「チョコレートケーキ食べたいよぉ」なんて強烈に思っちゃうんですね。
こんな誘惑に負けないのは、凄く困難です。
だって、脳が命令しているんだから。
ある意味では麻薬依存症やアルコール依存症と一緒ですね。
そんな誘惑に負けず、毎日少しずつ食べる量を減らすのが大切。
そうすれば少しずつ少しずつ「脳が報酬を求める作用」が弱まっていき、自然と食べる量が減ってくるでしょう。
体型は太っていたとしても、食事内容を変えるだけで、劇的に血液内のコレステロール値を下げる「血液ダイエット」は可能です。
健全な毛髪は健康な肉体に生える
肥満であることは、いろんな生活習慣病の原因になります。
「ハゲたくない!」という思いは、やはり外見上のデメリットを改善したいという気持ちが根底にあります。
- ハゲていたら恥ずかしい。
- ハゲていたらモテない。
- ハゲていたらみっともない。
だけど、肥満も同様に外見上のデメリットになります。
もし肥満と薄毛を同時に悩んでいるとしたら、優先順位としてまず痩せることを考えた方が良いかもしれません。
もちろん同時に並行してダイエットと育毛対策を行った方が良いとは思いますが、肥満を放置しておく方がいろんな意味で不健康。
健全な毛髪は健康な肉体に生える!!
育毛対策の基本は、健康的な身体をつくることが一番大事なんですね。
ただしこれは”太りすぎ”に限った話で、BMIが25未満であればそれほど気にする必要はありません。
BMIは21~25くらいの範囲が、一番健康的で長生きできるといわれています。特に日本人女性はこの範囲内に収まっていても「太りすぎ!」と思っちゃうかもしれませんが、BMI=25未満であれば薄毛に悪影響はありまえん。
むしろ、食事制限ダイエットを行う方が、髪を細くし、抜け毛を増やしてしまう可能性があります。ダイエットするなら食事制限はせずに、運動で痩せましょう。
適度な脂肪は健康維持や薄毛予防に大切なのです。
結論としては、「BMI=25以上の太りすぎ体型でない限り、肥満は薄毛に悪影響を及ぼさない」ということになりますね。