多くの皮膚科の医師が、男性型脱毛症治療の指針としている「男性型脱毛症診療ガイドライン」ですが、その中ではいろんな育毛成分についての有用性が検討されています。
「この成分は効果があるね…。こっちの成分は育毛効果ぜんぜんないね~」
なんて、市販の育毛剤に含まれるいろんな成分について専門家が検証しています。
ミノキシジルやフィナステリド以外にもたくさんの有効成分がA~Dのアルファベットで、まるで学校の成績のように分類されて評価されています。
今回は、男性型脱毛症診療ガイドラインでその使用が勧められている育毛成分を紹介します。
男性型脱毛症診療ガイドラインで推奨されている育毛成分
男性型脱毛症診療ガイドラインでは、その育毛成分を推奨度A~Dに分けて分類しています。
- A群:めっちゃオススメ!
- B群:普通にオススメ
- C1群:十分な根拠がないけど、効果があるかも
- C2群:オススメできない
- D群:むしろやってはダメ!
A~Dまで、このような内容になっています。
一番優秀なA群には「ミノキシジル」と「フィナステリド」だけが入っています。(ただしフィナステリドは女性への使用が禁忌となっているので、女性にとってはD群です。)
B群には「自毛植毛」がはいっています。自分の毛根を薄毛部分に移植する、安全性の高い薄毛治療法で、移植後でもシャンプーもできるし普通の髪の毛と同様に生えてきます。
似たような技術に「人口毛植毛」があります。人間の髪の毛を模して造られた人工毛を移植するのですが、副作用の報告が多く、現在ではオススメされていません。もちろん「やってはダメ!」なD群に入っています。
次に「十分な根拠がないけど、効果があるかも」というC1群に入っている育毛成分を紹介します。
- 塩化カルプロニウム
- t-フラバノン
- アデノシン
- サイトプリン・ペンタデカン
- ケトコナゾール
これらの育毛成分がC1群に入っています。一部の育毛剤に配合されている、育毛成分として一般的なものばかりですね。
では、わかりやすいように表にしてみましょう。
成分名 | 推奨度 |
ミノキシジル外用 | A |
男性へのフィナステリド | A |
自毛植毛 | B |
塩化カルプロニウム | C1 |
t-フラバノン | C1 |
アデノシン | C1 |
サイトプリン・ペンタデカン | C1 |
ケトコナゾール | C1 |
セファランチン | C2 |
女性へのフィナステリド | D |
人工毛植毛 | D |
これが、男性型脱毛症ガイドラインに記載された、育毛成分の評価になります。
では次に、男性型脱毛症資料ガイドラインによる薄毛治療のフローチャートを見てみましょう。
中程度から重度の薄毛にはA群、つまりフィナステリドやミノキシジルの処方が有効とされています。
これらの薬を1年間使い続けてみてもまったく改善がみられない場合は、自毛植毛かかつらをオススメするという流れですね。
フローチャートをみると、軽度の薄毛の場合はC1群の育毛剤もオススメされています。
C1群に分類される3つの育毛剤
では、軽度の薄毛で使用が勧められているC群の有効成分が配合された育毛剤を紹介します。
t-フラバノン配合のサクセス育毛トニック
t-フラバノンは花王の開発した独自の育毛成分です。そのため、花王の育毛剤にしか配合されていません。
オススメはロングセラーの人気商品「サクセス薬用育毛トニック」です。
1,000円前後の安い育毛トニックがたくさん販売されていますが、その中でも最もオススメな一品です。
アデノシン配合のアデノゲン
育毛効果の高いA群に分類されるミノキシジルですが、ミノキシジルを頭皮に塗布すると毛根の中にアデノシンがつくられ、それによって毛乳頭が活性化して発毛に結びつくと考えられています。
そのアデノシンを直接有効成分として配合した育毛剤が、薬用アデノゲンなのです。
アデノシンが配合された育毛剤でもっともオススメの逸品です。
塩化カルプロニウム配合の育毛剤「カロヤン」
塩化カルプロニウムを有効成分として配合してある育毛剤は、第一三共のカロヤン・シリーズです。
塩化カルプロニウムは発毛効果があると厚生労働省が認可している、数少ない有効成分のひとつでもあります。そのためカロヤンは第三種医薬品に分類されています。
多くの育毛剤が「医薬部外品」に分類されているなか、カロヤン・シリーズにしっかりと育毛効果があるという証明になるでしょう。
その点でも、他の有効成分よりも信頼性が高いと思われます。
(これ以外のC1群にある有効成分、サイトプリン、ペンタデカン、ケトコナゾールが配合された育毛剤については、日本で一般に市販されていないため除外します)
専門家の意見を鵜呑みにせず、育毛剤選びの参考として利用しよう!
男性型脱毛症診療ガイドラインでは、10種類ほどの育毛成分検証し、その有効性を検証しています。
ですが気を付けて欲しいのは、このガイドラインで有効性が確認されたからといっても、必ずしも効果があるわけではありませんし、逆に効果がないと思われていた有効成分でも発毛する可能性もあるということです。
育毛効果があると思われる有効成分は、ここで検証したもの以外にもたくさん存在します
市販されている育毛剤には、たくさんの植物エキスが配合されていたり、漢方成分が含まれていたりします。それらの有効成分は効果があるかどうか、しっかりと実験で検証されておらず、そのため「育毛効果がある」という風に説明することはできません。
そのようなエビデンス(科学的な根拠)が不足しているだけの成分だったとしても、ホントはA群に分類してもいいくらいの効果の高い育毛成分だってあるかもしれません。
というわけで、男性型脱毛症ガイドラインの有効成分評価を紹介しましたが、専門家の意見を盲信するのではなく、あくまでも育毛剤選びの参考として利用するのが良いのではなでしょうか。